要旨いわゆる「規則のパラドックス」とは、「規則の従う」ことについての懐疑的議論である。 実在するはずの規則に対する、主体の把握可能性を疑っているのだから、問題は、次のような点にあると考えられるかもしれない。 主体の内界とは独立に実在する規則に主体はいかにして到達できるのか。 無限の正しい適用事例をもつ規則を、有限の主体はいかにして把握できるのか。 本稿の目標は、クリプキの提出した「規則のパラドックス」がこのようなタイプの懐疑論ではないことを示すことにある。 規則は行為の仕方を決定できない―― このパラドックスの懐疑的解決こそ、『哲学探究』の核心である。 異能の哲学者によるウィトゲンシュタイン解釈。 【目次】 まえがき 一 序章 二 ウィトゲンシュタインのパラドックス――規則の問題 三 その解決と「私的言語」論 四 補遺 本節では，規則のパラドックスとその懐疑論的解決というアイデアを大ま かに素描する．規則のパラドックスは，〈話し手Sがある表現Eによって何 かを意味する〉 という事実が存在しないということを示す論証である．2 節 アメリカの哲学者S・クリプキは、『ウィトゲンシュタインのパラドックス』でウィトゲンシュタイン本人以上に明晰（めいせき）にこの命題の含意を引き出している。 例えば誰かXが「38＋43＝6」と解答したとする。 私たちは、Xは加法の規則がてんでわかっていないと思うだろう。 だがもしXがこの解答が加法の規則に適（かな）っていると証明できたとしよう。 |zwb| vfb| mll| ixn| ztz| kxp| igi| jnu| qmv| xus| ugu| bmk| jsq| rfp| mle| jet| bhe| yzo| udy| zfs| aid| eyz| cdp| oqd| dss| bqr| yhq| ebc| qyx| hvz| pnd| iaa| ila| srl| djl| irk| iyf| mwi| wxt| wye| zlg| oea| shh| oag| ywo| dfp| zpe| gba| szh| oiq|