藁 蛇
麦藁蛇とは、東京の富士塚を有する神社(ほぼ浅間神社)で土産物として売られている蛇を形どった縁起物のこと。 現在では見かける機会が希少となったものの旧来の伝統を踏襲し、浅草富士浅間神社のように毎年の植木市が開かれる期間に頒布する社もある。 麦藁蛇の由来 江戸は寛永期の頃、駒込に喜八(きはち)という者が、富士浅間神社の祭礼の市で販売した所、多くの参拝者が珍しがって買って帰ったそうな。 うぎゃぎゃ持ち帰った人々は、ありがたがって自宅に飾ってお祀りしたそうな。 その年の7月、まるで予知したかのように疫病が蔓延したが、この麦藁蛇を飾った家の者は一切病気にはならなかった。 この話は瞬く間に広まり、祭礼の際には、より多くの者が麦藁蛇を買い求めるようになった。
麦藁蛇 むぎわらじゃ 麦藁細工の蛇は、宝永年間(約300年前)駒込の百姓喜八という人が夢告により、疫病除け、水あたりよけの免符としてひろめてから、霊験あらたかと評判になった。 そうしたことから江戸中の浅間神社で頒布するようになったと伝えられ、浅草でも出されるようになった。 富士土産舌はあったりなかったり(古川柳) 雑踏で麦藁蛇についている赤塗りの附木で出来た舌をどこかに落としてしまったという意味の句で、参詣者のにぎわいがわかる。 昭和初期頃までは境内において植木市の風物として頒布されていたが、戦後には姿を消してしまった。 そもそも蛇という生き物は、古来日本において水神である龍の使い(仮の姿)であると考えられ、水による疫病や水害などの災難から守ってくれると信仰されていた。
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