民法 608 条
民法608条(賃借人による費用の償還請求) 【解説】 1.必要費の償還請求権(第1項) 賃貸人は賃借人に対して目的物を使用及び収益させる義務を負います(601条)。 そこから、賃貸人には目的物の修繕義務がありますが、賃借人が賃借物に何らかの費用を支出した場合に、それを賃貸人に請求できるか、という問題があります。 これが、賃借人による費用の償還請求の問題です。 この問題は、賃借人がかけた費用の性質を分けて考えます。 まず、賃借人が、賃借物について賃貸人の負担に属する「必要費」を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができます。 この「必要費」というのは、賃借人が使用収益するのに必要な費用のことです。 たとえば、建物の賃貸借で、その建物で雨漏りが生じたとします。
これを費用償還請求権(民法608条)といいます。 屋根の修繕費用を支出することは、原状回復のために支出されたものと言えますから、大家さんに対し、費用支出後直ちに必要費償還請求(同条1項)をすることができます。
民法608条は「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。 」と規定し、賃借人が目的物の保存・管理に必要な費用を支出した場合、それに要した費用を賃貸人に請求できる旨を規定しています。 では、賃借人が改正民法607条の2に基づき修繕をした場合、賃借人は賃貸人に対し、修繕に要した費用を請求できるのでしょうか。 この点、法制審議会の議論においては、改正法607条の2に基づき修繕権限が認められるかという問題と、608条に基づき費用の償還を請求できるかという問題は切り離して考えるべきとの見解が示されています。
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