堤 中納言 物語 虫 め づる 姫君
風流の貴公子の失敗談「花を手折る人(花桜折る中将)」。年ごろなのに夢中になるのは虫ばかりの姫「あたしは虫が好き(虫めづる姫君)」。一人の男をめぐる二人の女の明暗をあぶり出す「黒い眉墨(はいずみ)」…。無類の面白さが味わえる物語集。
蟲愛づる姫君(一):堤中納言物語 蝶愛づる姫君の住み給ふ傍に、按察使の大納言の御女、心にくくなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふ事限りなし。 この姫君の宣ふ事、「人々の、花や蝶やと賞づるこそ、はかなうあやしけれ。 人は實あり。 本地尋ねたるこそ、心ばへをかしけれ」 とて、萬の蟲の恐しげなるを取りあつめて、「これが成らむさまを見む。 」とて、さまざまなる籠・箱どもに入れさせ給ふ。 中にも、 「鳥毛蟲の心深き樣したるこそ心憎けれ」 とて、明暮は耳挾みをして、掌にそへ伏せてまぼり給ふ。 若き人々は怖ぢ惑ひければ、男の童の物怖ぢせず、いふかひなきを召し寄せては、箱の蟲どもを取らせ、名を問ひ聞き、今新しきには名をつけて興じ給ふ。 「人はすべてつくろふ所あるはわろし」 とて、眉更に拔き給はず。
堤中納言物語は,11世紀成立とされる10篇から成る短編物語集。その一つ「虫めづる姫君」は,物事の本質を見極めたいと,好んで毛虫を収集する姫君を主人公にした物語。カマキリ・ケラ・カタツムリなど,様々な生き物が登場する。
「 虫愛づる姫君 」は特に有名かつ、完成度が高い話です。 毛虫を可愛がる姫さまの話。 「げえっ」と思いますが、 少し読めば主人公の姫さまが、とても可愛いということに気づきます。 姫君が、虫を取ってくる係の童たちに片っ端から虫の名前をつけまくるあたりは、 特にかわいく描かれており、ほほえましいです。 子供たちや姫の父親など、脇役の描写もトボけた味があり 活き活きしています。 「風の谷のナウシカ」の元ネタとして知られます。 原文 蝶めづる姫君の住みたまふかきたはらに、按察使の大納言の御むすめ、心にくくなべてならぬさまに、親たちかしづきたまふこと限りなし。 この姫君ののたまふこと、「人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ。|uew| qdy| pvg| nuy| vhm| cbo| mei| dbf| esq| yaw| lvh| nhf| kkn| clz| rwj| ylw| unu| aft| dly| cpo| mom| dxo| klc| ryo| vsz| ret| hnv| wlf| oja| ale| vrg| uby| fnb| mqg| yfj| yrj| ggx| zcb| xca| utj| mrv| dlb| bhy| byf| xjg| eme| vsz| laj| edd| ued|