虫垂炎 保存 的 治療
急性虫垂炎において保存的治療が奏効するかどうか,治療早期に判断できる指標を検討する. 当院で保存的治療を行った急性虫垂炎65例を検討した.65例中55例で保存的治療が有効であったが,10例は保存的治療が無効で即時手術を行った.保存的治療有効群55例中7例において,保存的治療が有効であったものの,入院期間が14日間を超え治療に難渋した.次に即時手術群10例に保存的治療が難渋した7例を加えた17例を,保存的治療が奏効した48例と比較した.年齢,糞石,膿瘍の有無,治療開始後のWBC,CRP値で差を認めた.これら因子を用いて,保存的治療が奏効するか否かの予測式を作成した.この予測式によって,保存的治療が奏効するか否かの感度は95.8%,特異度は88.2%であった.
自覚症状が軽度で,汎発性腹膜炎でなく,全身状態が良好であれば保存的治療が可能です。入院で絶食とし,抗菌薬の投与を行います。治療開始2~3日以内に症状の改善がみられない場合に手術を考慮します。
虫垂炎の治療方法は、(1)抗生剤を用いて虫垂の炎症を抑える保存療法と、(2)虫垂切除を行う手術療法の2つが大きく存在します。
蜂窩織炎や膿瘍を伴う虫垂炎の第一選択は保存的治療が妥当。 経皮的ドレナージが有用な可能性もあるがエビデンスが乏しい。 Similisらによるメタアナリシスでは手術first群に比べて保存的治療群で全合併症 (創部感染、膿瘍、腸閉塞、イレウス、再手術)が優位に少ないことが示された。 MentulaらによるRCTでは経験豊富な医師による第一選択としての腹腔鏡下虫垂切除術では保存的治療に比して再入院が少なく、追加介入も少なく、入院期間も同等程度であることが示された。 Luoらは経皮的ドレナージ+抗菌薬群と抗菌薬群の治療成績を比較した。 経皮的ドレナージ+抗菌薬群では再発率が有意に低く術後合併症も有意に低かった。
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